2006年の干支は戌である。一昨年の申、昨年の酉にに反して、西洋画の画題としてはきわめて多い。どれをアップしようか迷うほどである。
1)フランドルのイヌの画: すぐに思い出すのはヤン・ファン・エイクのアルノフィリ夫妻の足元にいる毛の長い犬。 これはいかにも室内犬。ベルギーの家庭の雰囲気が伝わってくる。こんな犬なら飼いたい人が多いのではないか。
|
|
2)イタリアのイヌの画 左下隅に見られる裸婦の左脚のすぐ傍でまどろんでいる小型の犬。ティツィアーノの《ウルビーノのヴィーナス》とベッドを共にしている。 キリスト教関係の絵画には犬は稀にしか登場していない。聖書では、不浄の動物とされているためであろう。 そうなるとウルビーノのヴィーナスは娼婦であるという説がもっともらしくなってくる。 |
|
3)スペインのイヌの画: ゴヤの黒い絵の一つ、砂の穴に吸い込まれている犬の姿は象徴的である。 《ラスメニーナス》のなかに坐っている犬もなぜか暗い。やはり大奥はアンハッピーか。とにかく、これはからだの大きな番犬。 |
|
4)イギリスのイヌの画: ゲインズバラの《犬と子犬》はまさに犬にための犬の画である。犬に注がれる人間の優しい眼が見えてくる。 イギリス絵画には犬が良く登場する。狩猟犬として重宝されているためか。 犬は人間の最良の友。
|
|
5)フランスのイヌの画: ジョルジュ・ド・ラトゥールの《犬を連れたヴィエル弾き》の犬は、盲導犬。上目使いは可愛いいが、しっかりとこちらを観察している。 印象派や新印象派の傑作の中にも、犬がよく出てくる。スーラの《グランドジャットの日曜日の午後》の黒犬はピクニックに参加。和やかな家庭のイメージ。 ルノアールの《舟遊びの昼食》で、アリーヌ・シャリゴに抱かれている犬は完全な愛玩犬。
|