海外美術散歩 10-2 (日本美術は別ページ)

 

ブリューゲルの版画の世界 10.7 アントワープ王立美術館 10.7 誕生!中国文明 10.7 ヴィンタートゥール 10.8
ポーランドの至宝 10.9 フランダースの光 10.9 ウフィッツィ自画像 10.9 ゴッホ展 10.10
ドガ展 10.10      

目 次 ↑


ドガ展: 横浜美術館

 

ドガ:踊りの稽古場 初期のドガはアングルを尊敬していて、新古典的な絵である。ルーブルで沢山摸写もしたようだ。肖像画もこの時期多く描いている。次第にドガ独自のモチーフを見いだす。

 まず踊り子シリーズダ。《エトワール》は一瞬のバレリーナの動きを美しく描いている。構図も主役のバレリーナを右に寄せ、左には広い空間があり、いかにも躍動感を想像させる。舞台裏から男の足が・・・。《バレーの稽古》は稽古の休憩時間に振付師が何かの話をしている。バレリーナ達はリラックスしていろいろなしぐさをしている。

 次のモチーフは競馬、そして浴女シリーズと続く。後半、ドガが目を悪くしたため、パステル画が多くなってくる。パステルは色彩が豊富で、特にドガは緑、青、オレンジを好んだよう感じる。

 またドガの撮った写真が展示されていた。ドガは彫刻も沢山作っているが、ほとんどが小型のもの。馬や、踊り子が多かった。中でも《14歳の小さな踊り子》は身長1メートルほどの少女の像。布のスカートをつけていて髪には繻子のリボンがある珍しい彫刻。

 作品を見れば「これはドガの絵」と分かる個性のしっかり確立した画家である。習作や素描画も多くあったが、純粋にドガだけの展覧会であり満喫した。

(2010.10t) 

 

ゴッホ展―こうして私はゴッホになった: 新国立美術館

 

ゴッホ:灰色のフェルト帽の自画像 このHPもかれこれ20年も前のオランダ美術散歩(ゴッホ美術館クレラー=ミュラー美術館)から始まっている。

 今回、ゴッホの作品には番号の周りが黄色にして識別できるようになっている。この「ゴッホ率」は全体では54%。

 第1章 伝統−ファン・ゴッホに対する最初期の影響: 冒頭には、初期の《秋のポプラ並木》と最晩年の《曇り空の下の積み藁》が並んでおり、その差が強調されている。

 第2章 若き芸術家の誕生: 《麦藁帽子のある静物》は、ハーグ派のアントン・モーヴに師事したころの作品。なかなか巧い。

 第3章 色彩理論と人体の研究−ニューネン: お気に入りは、《籠いっぱいのじゃがいも》。

 第4章 パリのモダニズム: 額までゴッホの手が加わっている「黄色い静物画」《マルメロ、レモン、梨、葡萄》は圧倒的な迫力があった。《灰色のフェルト帽の自画像》は力強い独特のタッチである。《カフェにて(「ル・タンブラン」のアゴスティーナ・セガトーリ)》もお馴染み。

 第5章 真のモダン・アーティストの誕生−アルル: 《アルルの寝室》、《ゴーギャンの椅子》、《種まく人》、《あおむけの蟹》といった超有名作品が並んでいる。

 第6章 さらなる探求と様式の展開−サン=レミとオーヴェール=シュル=オワーズ: ここでは、1889年の《サンレミの療養院の庭》がベスト。葉の先端が盛り上がるように描かれていたが、これはwet in wet という技法らしい。おなじみの《蔦の絡まる幹》、《渓谷の小道》、《夕暮れの松ノ木》、《オリーヴ畑と実を摘む人々》、《草むらの中の幹》、《麦の穂》、《アイリス》に再会した。ゴッホは何回見ても良い。

(2010.10a) ブログ

 

ウフィツィ美術館自画像コレクション: 損保ジャパン東郷青児美術館

 

ル・ブラン:マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ルブラン ヴァザーリの回廊は、フィレンツェのポンテ・ヴェッキオの頭上にあり、「自画像コレクション」の展示スペースとなっている。2005年にここを訪れる機会があった(記事はこちら)。

 今回の展覧会の副題は「巨匠たちの秘めた素顔」で、ヴァザーリ回廊に展示されているものが中心となっている。 しかしウフィツィの「自画像コレクション」の総点数は現在1,700点以上に達しているため、実際には回廊に全部を展示しきれないようで、私が見た時には、シャガールの自画像が一番近い世代のものだったが、今回は未来派や抽象絵画の画家の自画像も見ることができた。

第1章 レオポルド枢機卿とメディチ家の自画像コレクション 1664-1736: お気に入りは、ティントレッタ《自画像》、ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ《自画像》、レンブラント《自画像》、ヨハネス・グンプ《自画像》、ニコラ・ファン・ハウブラーケン《花輪の中の自画像?》、ロザルバ・カッリエーラ《自画像》。

第2章 ハプスブルグ=ロートリンゲン家の時代 1737-1860: レイノルズ《自画像》、エルザベート・ヴィジェ=ルブラン《マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ルブラン》、アングル《自画像》、トンマーゾ・ミナルディ《自画像》。

第3章 イタリア王国の時代 1961-1919: フィリッポ・ボルビ《自画像》、カルロ・ベックリン《アルノルド・ベックリンの肖像》、フレデリック・レイトン《自画像》、アンソール《自画像》、クラウス《自画像》、ドニ《家族といる画家の自画像》、エリザベート・シャプラン《緑の傘を手にした自画像》、ボリス・ミハイロヴィッチ・クストディエフ《自画像》。

第4章 20世紀の巨匠たち 1920-1980: バッラ《自画像(アウトカフェ)》、藤田嗣治《猫のいる自画像》、ウンベルト・ブルネレスキ《自画像》、マンズー《自画像》、ロベール・アイツ《自画像》、シャガール《自画像》。

第5章 歴代作家たちの自画像と自刻像 1980-2010: マリー・ルイーズ・ド・ギール・ベルエンストラーレ《自画像》、草間弥生《自画像》。

(2010.8a) ブログ

 

フランダースの光: Bunkamura

 

クラウス:仮草干し フランダース地方の「シント・マルテンス・ラーテム村」周辺に、19世紀末から20世紀初頭に集まった芸術家の作品を集めた展覧会。ラーテム村は古都ゲントから15Km離れた小村。若い芸術家がゲントを離れてラーテム村周辺にコロニーを形成した。

第1章 精神的なものを追い求めて: 1900年ごろ、純粋で素朴なものを追い求めて都市から移住して来たジョルジュ・ミンヌと、ラーテム生まれのアルベイン・ヴァン・デン・アベールらを「ラーテム派第一世代」と呼ぶが、これらのアーティストは象徴主義的な作品を発展させていく。その他の主な作家は、ヴァレリウス・ド・サードレール、ギュスターヴ・ヴァン・ド・ウーステイヌ、アルベール・セルヴァース。

第2章 移ろいゆく光を追い求めて: 印象主義の画家たちが移り住み、隣村のアステーネに在住していたエミール・クラウスとともに「第二世代」を形成した。他の作家は、アンナ・ド・ウェールト、児島虎次郎、太田喜二郎、ギュスターヴ・ド・スメット、レオン・ド・スメット、フリッツ・ヴァン・デンベルグ、コンスタン・ペルメーク。

第3章 新たな造形を追い求めて: 「第三世代」を形成したのは、以前の「第二世代」の画家たち。かれらは第一次世界大戦の疎開先で、表現主義やキュビスムなどの新しい美術の流れに触れ、帰国後は以前とはまったく異なる様式の作品を制作した。コンスタン・ペルメーク、フリッツ・ヴァン・デン・ベルグ、ギュスターヴ・ド・スメットがその主役。

(2010.9a) ブログ

 

ポーランドの至宝 レンブラントと珠玉の王室コレクション: 東京富士美術館

 

レンブラント:額縁の中の少女 国内でポーランドの美術展を見る機会は少ない。私の記憶では、2002年横浜美術館でレオナルド・ダ・ヴィンチの《白貂を抱く貴婦人》が展示された「チャルトリスキー・コレクション展」以降初めてである。は、クラクフにはこのチャルトリスキー美術館の他に、王宮ヴァヴェル城があり、ワルシャワの王宮にも美術品が残っている。さらに、両都市には国立美術館もある。今回の展覧会は、激動の歴史と戦火をくぐって守られてきたポーランド美術品を見る絶好の機会である。

第1章 珠玉のポーランド王室コレクション−絢爛たる王国の時代: ジグムント・アウグスト国王の「タペストリー・コレクション」は有名である。これは1550−1560年の間にブリュッセルの工房で作成されたもので、全体で約160点あったそうだが、現在でも138点が残っており、今回の展覧会にも4点が展示されている。これらのタペストリーは1795年にロシア軍に略奪されて、サンクト・ペテルブルグに運ばれ、その後125年もの間、ロシア皇帝の部屋を飾っていた。1921年のリガ条約締結後にポーランドに戻っていたが、第二次大戦から避難するため、1939年に再びヴァヴェル城から持ち出され、1961年までカナダで保管されていた。

 最後の王であるスタニスワフ・アウグスト・ポニャトフスキもコレクションを充実させていたが、多くの作品はポーランド分割後には離散してしまった。しかし、その後寄贈などによりこれらの王室コレクションが補われてきている。

 お気に入りは、ドッソ・ドッシ《ユピテル、メルクリウスと美徳》、「レンブラントのモナリザ」と呼ばれる《額縁の中の少女 》や《机の前の学者》、メツー《窓辺で洗濯する女》。


 カナレットは、国王スタニスワフ・アウグストの依頼で、1767年から1780年の間に、22点のワルシャワ景観画を描いた。これらはワルシャワ王宮の「カナレットの間」を覆う羽目板に据えられた。このためこれらは王宮から持ち出されることはなかった。今回はこのシリーズから5点が出展されていた。この中でのお気に入りは《ジグムント3世の円柱から見たクラクフ郊外通り》。

第2章 19世紀ポーランド絵画: この章では、ワルシャワ国立美術館とクラクフ国立美術館からの肖像画が多かった。お気に入りは、ヤン・マティコ《自画像》。ヘンリク・シェミラツキ(1843−1902)の《泉のほとり》や《ローマの田園風景(魚釣り)》美しいアカデミズム絵画も良かった。

第3章 ポーランドが生んだ偉人たち: コペルニクス・ショパン・キューリー夫人の資料が展示されていた。

(2010.9a) ブログ

 

ザ・コレクション・ヴィンタートゥール: 世田谷美術館

 

ホドラー:ジュネーヴ湖畔の柳1. フランス近代T:ドラクロワから印象派まで: モネ、シスレー、ルノワール

2. フランス近代U 印象派以後の時代: ゴッホ、ルドン

3. ドイツとスイスの近代絵画: リーバーマン、アンカー、ホドラー、コリント、リギーニ、ジャコメッティの父

4. ナビ派から20世紀へ: ドニ、マルケ、ボナール、ヴラマンク

5. ヴァロットンとスイスの具象絵画: 

6. 20世紀T:表現主義的傾向: ヘッケル、ヤウレンウスキー 、カンディンスキー、クレー、ココシュカ、ベックマン

7. 20世紀U:キュビスムから抽象へ: ピカソ、グリス

8. 20世紀V:素朴派から新たなリアリズムへ: ルソー、ボーシャン、ジャコメッティ、モランディー

(2010.8a) ブログ

 

誕生!中国文明: 東京国立博物館

 

 河南省に限定。新石器時代省略。今まで類似品を見たようなものが多かった。興味はもっぱら汝窯址出土の青磁。

第1部: 王朝の誕生: 夏、商・西周、春秋・戦国、前漢

第2部: 技の誕生: 飲食の具、アクセサリー、暮らし

第3部: 美の誕生: 書画の源流、神仙の世界、人と動物、仏の世界

(2010.7a) ブログ

 

アントワープ王立美術館コレクション展: 東京オペラシティアートギャラリー

 

 1.アカデミスム、外光主義、印象主義: グレーフ《公園にいるストローブ嬢》、アンソール《待ち合わせ》、フィンチ《西フランドルの風景》、ワウテルス《ノートルダム・ボン・ドドゥールの礼拝堂》など。

 2.象徴主義とプリミティヴィスム: アンソール《フランドル通りの軍楽隊》、フレデリック《咲き誇るシャクナゲ》、クノップフ《エドモン・クノップフの肖像》、デ・サデレール《フランドルの雪景色》、ベルメーク《冬景色》、スピリアールト《砂丘の少女たち》・《自画像》、《海辺の女》など。

 3.ポスト・キュビスム:フランドル表現主義と抽象芸術: デ・スメット《パリーの肖像》、ファン・デ・ウーステイネ《リキュールを飲む人たち》など。

 4.シュルレアリスム: マグリットの《9月16日》・《復讐》、デルヴォーの《ばら色の蝶結び》・水彩《ヴェステンデの海》 など。

 (同時開催1) 幻想の回廊: マイ・ベストは川村悦子《冬の旅U》。

 (同時開催2) 川見 俊: ペンキ画。マイ・ベストは《lattice painting 4》。

(2010.7a) ブログ

 

ブリューゲルの版画の世界: 東京都庭園美術館

 

学校でのロバ(部分 1.雄大なアルプス山脈の賛美と近郊の田園風景への親近感: 「大風景画」と呼ばれる12点組の風景版画(《ネーデルランドの四輪馬車》など)

 2.聖書の主題や宗教的な寓意を描く: 「七つの罪源」の連作(《大食》など)と「七つの徳目」の連作(《節制》など)

 3.武装帆船やガレー船の驚くべき表現力: 《外洋へ出帆する4本マストの武装帆船》など。

 4.人間観察と道徳教訓の世界: 《学校でのロバ》など。

 5.諺を通じて知る「青いマント」の世界: 《大きな魚は小さな魚を食う》など。

 6.民衆文化や民話への共感: 《ホボケンの縁日》など。 

 7.四季や月暦表現で綴る市民の祝祭や農民の労働: 《》など。

(2010.7a) ブログ