上海ー近代の美術(後期) 08.1 | ロートレック展 08.2 | ルノワール x ルノワール 08.2 | 福岡アジア美術館 08.2 |
後藤美術館 08.3 | ウルビーノのヴィーナス 08.3 | 蘭亭序 08.3 | モンテフェルトロの小書斎 08.4 |
ルオーとマティス 08.4 | 都市スーサとその陶器 08.4 | マティスとボナール 08.4 | モジリアーニ 08.4 |
マヤ文明 コパール遺跡 08.4 | ワイエス 08.4 | 藝術都市パリの100年 08.4 | 大岩オスカール 08.4 |
ジュリー・ヘッファナン 08.5 | いとも美しき版画の世界 08.5 | ターナー賞 08.6 | コロー展 08.6 |
ロシア・アヴァンギャルド 08.6 | ルオー大回顧展 08.6 | ヨーロッパの近代工芸とデザイン 08.6 | ウィーン美術史美術館静物画 08.7 |
目 次 ↑
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ジュリー・ヘッファナン新作展: Megumi Art Gallery
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第8回アンドリュー・ワイエス水彩展 ワイエスが描く光と影: 丸沼藝術の森
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マヤ文明 コパン遺跡: TNM & TOPPAN ミュージアム・シアター
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都市スーサとその陶器 イスラム時代の創世期: ルーブル-DNPミュージアムラボ
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フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロの小書斎: イタリア文化会館
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ウフィツィーから来たティツアーノの《ウルビーノのヴィーナス》を目玉に古代ギリシャから初期バロックまでのヴィーナスを集めた展覧会である。 T.ヴィーナス像の誕生ー古代ギリシャとローマ: 赤像式の壷や皿に描かれたヴィーナス像、《アフロディテとアレス、ヘレネとパリス》の刻まれた素晴らしい鏡、カメオに精巧に細工されたヴィーナスなどに舌を巻く。彫刻では、《メディチ家のヴィーナス》は、いるかのような魚の上でキューピッドが遊ぶ支柱に凭れた美しい像で、背部には「ヴィーナスのえくぼ」がはっきりと見られる。ポンペイから出土した《角柱にもたれるヴィーナス》も美しい。1世紀の漆喰に描かれた《ヴィーナス》の色も良く残っていた。 U.ヴィーナス像の復興ー15世紀イタリア: 中世キリスト教社会では容認されなかった女性の裸身像が、ルネサンスとともにヴィーナス像として戻ってくる。絵画としては1458年のプリニウスの《博物誌》に描かれたヴィーナスがそのスタートらしい。ロレンツォ・ディ・クレーディの《ヴィーナス》は、黒をバックにした人間らしい顔のヴィーナス像。 V.《ウルビーノのヴィーナス》と”横たわる裸婦”の図像: 説明によるヴィーナスの画には二つの流れがあるとのことである。一つはジョルジョーネーティツィアーノのベネチア派の流れ、もうひとつはミケランジェローポントルモーアッローリといったフィレンツェ・ローマの流れである。ポントルモの《ミケランジェロの下絵にもとづくヴィーナスとキューピッド》では、ヴィーナスが筋肉質でキューピッドがヴィーナスにすり寄り怪しげである。ジョルジョーネの《眠れるヴィーナス》の流れをくむティツィアーノの《ウルビーノのヴィーナス》も柔らかい肌の女性像であるが、こちらは顔面を紅潮させ、男に対して室内に誘うような視線を投げかけてくる。シーツや枕の皺も淫靡な感じを与える。これはやはり高級娼婦と考えるべきなのでだろう。ティツィアーノ工房の《キューピッド、犬、ウズラを伴うヴィーナス》も《ウルビーノのヴィーナス》の延長線上の作品。一方、アッローリの《ヴィーナスとキューピッド》はとても美しいヴィーナスであるが、体を反らせてマニエリスティックであるのに加えて、少年キューピッドが怪しげである。 W.”ヴィーナスとアドニス”と”パリスの審判”: ティツィアーノの《ヴィーナスとアドニス》のヴィーナスの背中は美しいが、ちょっと広すぎる気がする。ルカ・カンビアーゾの《アドニスの死》のヴィーナスはとても美しい。グイド・ガ・ピサの《地理学》の挿絵は小さいが、単眼鏡で覗いてちょっと驚いた。クラーナハの《パリスの審判》ではパリスが寝ている。 X.ヴィーナス像の展開ーマニエリスムから初期バロックまで: お気に入りは、ティントレットの《ウルカヌス、ヴィーナスとキューピッド》、ヴェロネーゼの《息子アンテロスをユピテルに示すヴィーナスとメルクリウス》、ショモーネ・ペテルザーノの《ヴィーナス、キューピッドと二人のサチュロス》、ルカ・カンピアーゾの《海上のヴィーナスとキューピッド》、アンニバーレ・カラッチの《ヴィーナスとサチュロス、小サチュロス、プットー》と《ヴィーナスとキューピッド》、ラファエッロ・ヴァンニの蛇や鏡のある《キューピッドを鎮める「賢明」》。 彫刻としては、ライオンの毛皮、トカゲ、芥子の実のある《眠るエロス》は大らかな大理石像。 (2008.3a) ブログへ 鑑賞会: 池上英洋先生のギャラリートーク: 参加者多数。
Julia, Nikki, kaitaka, Kan, panda, Cos, Monet夫妻、Lapis, ayaco,
わん太夫、えみー丸、えりり、えこう、とら・・・。会場入口でミニ・レクチャー。その後会場内で説明。こちらは十分聞き取れない部分もあったが、いろいろと勉強になった。 |
山形県出身の実業家・後藤季次郎氏の個人コレクションを中心に平成6年に開かれた美術館からの出張展。展覧会の副題は「ロココからコローとバルビゾン派の画家たち」というから18−19世紀西洋美術展である。 1.宮廷絵画からアカデミズムへ: お気に入りは、グルーズの《小さな数学者》・・・コンパスを持つ金髪の少年。ブーシェの《聖ヨセフの夢》・・・「イエスとマリアを連れて逃げなさい」と告げる天使が艶かしい。ブーグローの《愛しの小鳥》はとてもかわいらしい。カバネルの《アラブの美女》や《パオロとフランチェスカ》、イザベイの《難破船》もなかなか良い。ナティエの《落ち着いた青色の服》はロココの極み。ヴォロンの《糸を紡ぐ女》や《果物お18世紀マルセイユの陶製スープ鉢のある静物》、エンネルの刺激的な半裸《荒地のマグを楽しんだ。 2.バルビゾン派とその周辺: ミシェル《木立の道を行くきこりの荷馬車》、モンティセリ《モスクの前のアラブ人》、ドラペニア《セラグリオの女達》、コロー《サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺》、トロワイヨン《小川で働く人々》、デュプレ、テオドール・ルソーなどおなじみの画家の作品が並んでいる。ジャックの《月夜の羊飼い》の月の輝きは印象的であり、《丘の上の羊飼いの少女と羊の群れ》の羊たちは迫力があった。ミレー《ポーリーヌ・オノの叔父ギローム・ルーミィの肖像》、シャントルイユ《黄昏》、デュプレ、ドービニー、アルピニー《月明りの湖》、シェニョー、クールベの豪快な《波》や《ピュイ・ノワールの渓谷》、ドレの《城の夕暮》、リシェ、デュプレなども良かった。 3.ヨーロッパ諸国の絵画: ムリーリョの《悲しみの聖母》が出ていたのにはには驚いた。涙が迫真的である。これは「真作」とキャプションにわざわざ断ってあると、ちょっと心配にもなるが。社交界を描いたパリエイの《夜会》、ターナーの水彩、コンスタブル《少女と鳩》、ミレイ、ポインター《ミルマン夫人の肖像》、ヤコブ・ファン・ロイスダール《小川と森の風景》なども良かった。 (2008.3a) ブログへ |
アジアの美術を展示している国内有数の美術館である。2004年2月以来の再訪である。 1.アジアの近代美術から現代美術へ: アジア諸国でも、伝統芸術の上に西洋美術を受容するという時期を経て、次第にアイデンティティが発揮されるようになってくる。それぞれの地域の歴史や風土によってその過程に相違があることは当然であろうが、このセクションはアジア全体として概観するように展示されていた。 お気に入りは、インドのマハーデーヴ・ヴィヴァナート・ドゥランダール 《トリヴェーニ・サンガムのカーリー女神》とラジャ・ラヴィヴァルマ(原画) 《メーナカーとシャクンタラー》、パキスタンのアブドゥル・レーマン・チュクタイ 《消えた炎》、フィリピンのカルロス・フランシスコ 《教育による進歩》、モンゴルのツェレンナドミディレ・ツェグミド 《オルホル河》、中国のリン・ティエンミャオ(林天苗) 《卵3#》。
3.もうひとつの「韓流」: 韓国現代美術の概観である。 お気に入りは、アン・ビョンソクの《風の波》。 (2008.2a) ブログへ 【追 加】 交流ギャラリーで「九州大学先導的デジタルコンテンツ創成支援ユニット19年度発表会」が開かれていた。感想はブログに別に書いた。
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ピエール=オーギュスト・ルノワールはよく知っているが、息子の映画監督ジャン・ルノワールについては、実像も映画も知らない。、ジャンが「オヤジの画業を追いかけることが自分の人生だった」と云っていたことを知って、気持ちを入れ替えて観た。 1.ジャンの陶器: 派手な彩色の陶板・陶器が5点出ていた。父親も若い頃陶器の絵付けをしていたので、息子を陶器製作に誘導したのだろう。しかしジャンは弟のクロードにこれを譲り、自分は映画の道に進む。 2.映画監督ジャン: 父親が死んだ翌年、父親の最後のモデルだったアンドレ=マドレーヌ・ユシュランと結婚。 この妻(女優カトリーヌ・ヘスリングと名乗る)のみならず兄ピエール、息子アランを映画に出演させている。自分自身も映画出演したことがある。 3.映画『牝犬』: ここに登場する日曜画家は父親の若いときをイメージしているのだろう。会場で、映画が映されている側に展示されているのはバジールの《ピエール=オーギュスト・ルノワール》。椅子の上に膝を立てて坐っている若いオヤジの肖像である。『アトリエでのピエール=オーギュスト・ルノワール』という記録フィルムも出ていた。 4.映画『ゲームの規則』: ジャン自身が狩りの姿で猟銃を持って出演している。会場では、側に有名な《狩姿のジャン》が掛けてある。映画と同じ猟銃を持ったジャンが仔犬とともに描かれている。ジャンはこの画を生涯手元に置いたという。 5.映画『ラ・マルセイエーズ』: これはフランス革命が勃発した1789年7月14日朝のヴェルサイユ宮殿。ルイ16世に扮した兄ピエールが朝からワインを飲み鶏肉を食べている。会場では、側に父親が描いた《ピエール・ルノワールの肖像》が展示されている。 6.映画『小間使の日記』: お屋敷の息子を愛の願いがかなうという樹の側に誘う小間使。肺病の息子はそれに乗らない。会場では、側に《後姿で横たわる裸婦》と《バラを飾るガブリエル》が飾られている。ガブリエルはそんなに悪い女でなかったはずだが・・・。 7.映画『黄金の馬車』: イタリアの仮面劇団の女優。黒いベールに黒い扇といったスペイン風の服装で闘牛場に現れ、闘牛士にネックレスを投げる。Bunkamuraには《闘牛士姿のアンブロワーズ・ヴォラール》と《スペインのギター弾き》が並んで展示されている。 8.映画『ピクニック』: (場面2) 有名なオルセーの《ぶらんこ》の女性に対して、映画では、若い娘とオバアサンがぶらんこに乗っている。ここに若い神父たちが通りかかる。説明には「セーヌ河畔での出会いと失意」と書いてある。これが出会いのシーンなのかもしれない。 9.映画『トニ』: 妻が身投げしたと知って、山道を駆け巡り、海に降りてきて妻の溺死体を運ぶ夫。画は《ヴェルサイユからルヴシェンヌへの道》。 10.映画『草の上の朝食』: マネの画と同じ名前の映画。 (場面2) オリーブの樹が写され、牧神の笛の音が聞こえる。対となる画は《レ・コレットの農家》。ル・コレットはカーニューの場所。ルノワールの終の棲家となったところである。 11.映画『河』: インドが舞台で、アメリカ人青年大尉と英国人少女ふたり・インド混血娘との間に繰り広げられる思春期の物語。インド混血娘がバナナの葉を持っている。これに対する父親の画は《バナナ畑》。アルジェリアで描かれたものとのこと。 12.『女優ナナ』: 次の配役を狙って伯爵をベッドに誘う貧乏な女優。ハイヒールの踵が半分取れている。黒白の映像である。これに対する画は黒白の《アルフレッド・ダラス夫人》。 13.『恋多き女』: イングリット・バーグマン演ずる公爵未亡人。これは美人。 1900年の革命記念日の大騒ぎ。伊達男メル・ファーラーと踊り狂うバーグマン。これに対する画は《田舎のダンス》なので大分落ちる。 14.フレンチ・カンカン: 戦後の映画。例の踊りを椅子に座ってニヤニヤしながら眺めているジャン・ギャバン。画は《テアトル・デ・ヴァリエテのボックス席》や《アデル・ベッソン》。 息子の映画12本、14場面のさわりを見ながら、父親の画を楽しんだ。粋な趣向の展覧会だった。 (2008.2a) ブログへ |
久し振りのロートレック。前回は2001年東武美術館で開かれた没後100年展。何度も観ている作品が多かったが、今回は展示の方法が良かったのでメモをとりながら3時間かけてジックリと観た。 T.プロローグ: 都市生活の画家の誕生 《初めての聖体拝領》は白い正装の少女がかわいらしく、《ジュスティーム・ディウール》は女性の赤い襟と背景の緑の草の対照が良かった。 ロートレックが描いた「ル・ミルリトン」誌の表紙が何枚か出ていたが、これは1887年のものばかりだった。この新聞は1885−94年にブリュアンが自分の経営するキャバレーのために発行したものであるが、展示の後のほうにはスタンランが描いた表紙が出ていた。これは1891−95年のもので、この頃にはブリュアンはポスターはインパクトの強いロートレック、表紙は説明的なスタンランの画を使ったと説明されていた。 U.ロートレックと大衆文化 (カフェ・コンセール:演芸喫茶) イヴェット・ギルベールの話が面白かった。彼女の写真、メダイヨン、彫像を見ても鼻が高く、ツンとすました朗唱家であるが、ロートレックに1894年に頼んだポスターの下絵では鼻が上にひん曲がっている。あまりひどかったので、ギルベールは断ってスランタンに描いてもらったとのことであるが、二つの作品がが並んで展示されている。確かにロートレックのはちょっとひどすぎる。そのまた隣に3年前の若いときのギルベールのポスター(シュレ作)があったが、これは美人!ダンダンふけていく自分の顔だったので、本人が気にしたのだろう。1894年にはロートレックが描いたギルベールの《アルバム》が展示されていたが、下絵のように彼女の鼻をそっくりかえっている。こちらが下絵より後に出版されたものならば、明らかに仕返しである。 次はいよいよ「アリステッド・ブリュアン」。《アンバサドール》やこれを左右逆にした《エルドラド》が威張っていた。「時代の風潮」という映画があった。ブリュアンが初めに登場し、彼の歌声をバックに、当時のパリの街やカフェの映像が流れる。女優の「アンナ・ヘルト」、カジノの喜劇役者「コーデュー」、スター女優「マルセル・ランデール」を描いたものもあった。 (サーカス) V.パリジャンの日常生活: 自転車、自動車、馬車など。 W 出版文化とロートレック X.娼館と娼婦たち Y.劇場と演劇 Z.晩年の日々 ロートレックが、19世紀末のパリの目撃者として、その醜さに目をそむけずに描いたアーティストであったことが展示からよく見てとれた。
(2008.1a) ブログへ |
前期・中期に出ていなかった作品が沢山陳列されている。 1.花鳥画 拓本を絵画に取り込んだ「博古図」が清末に流行したという。朱?の《博古花卉図》と呉大ちょうの《博古水仙図》が出ていたが面白かった。 2.人物画 3.山水画 4.書 呉雲や銭慧安などの《行書七言聯》、胡震や徐三庚の《隷書七言聯》、趙之謙の《楷書額字「苦兼室」》、呉昌碩の蘇軾の誕生日を詠んだ《行書寿蘇詩》、楊逸の《臨蘇軾帖》、趙時綱の《行書古文》。 李瑞清の《楷書五言聯》の字体は震えるように波打っている。これを「鋸体」というのだそうだ。 呉芝瑛の《楷書五言聯》》は徽宗の書いた「痩金体」というとのこと。 (2008.1a) ブログへ |