水野美術館の開館5周年記念展には昨年7月に行ってきた。今回改築された東京の大丸ミュージアムで「大丸東京新店オープン記念」として水野コレクション400点のうちの60点が紹介されている。
■橋本雅邦:《寒山拾得》・・・狩野派のタッチ、《紅葉白水》・・・紅葉の黄色・橙色と灰青色との対照。
■横山大観:《不二霊峰》・・・金泥の雲、《陶靖節》・・・岡倉天心を陶淵明に見立て、《鶉》・・・羽と葉の描きかたが巧い、《双龍争珠》・・・珠に見立てた月を龍に見立てた松の枝が争っている、《朝輝》・・・日の丸は嫌い、《無我》・・・3点の同一画題の一つ。
■菱田春草:《秋之渓谷》・・・朦朧体、《月下波》・・・明るい色彩、《稲田姫(奇縁)》・・・雲の中にオドロオドロシイ八岐大蛇、《双美摘草》・・・かわいらしい着物の女の子二人、《羅浮山》・・・ちょっと薄気味の悪い梅の精。
■大観・春草の合作:《旭日静波》・・・中央の太陽がどぎつい。
■下村観山:《宇治山》、《春秋》・・・美しい色彩の装飾性、《三猿》・・・目の不自由な男の掌に筆談する口のきけない男・その間に耳の聞こえぬ男、《獅子図屏風》・・・青が不気味な巨大な親子ライオン、《弁財天》・・・中国風。
■西郷孤月:《月下飛鷺》・・・朦朧とした月と樹に対し、一羽の鷺だけがはっきりと描かれている。
■上村松園:《かんざし》・・・精巧な簪、《夕べ》・・・簾の隙間から外を見る団扇を持つ凛とした女性、《汐汲み之図》・・・上を向いた松風の目が妖しい。
■鏑木清方:《花ふぶき・落葉時雨》・・・めずらしい大作、《大川の虹》・・・着物の女性と虹はミスマッチに思える。
■伊東深水:《鏡獅子》・・・頬を紅潮させた女性の顔に凄み、《夜長》・・・香をたきしめる胸元と雪洞にとまるコオロギに注がれる視線。
■池田焦園:《灯ともし頃》・・・夕方のとりこみ。この画の左葉から↓のダンナの作品ができた。
■池田輝方:《木挽町芝居小屋》・・・柳の下に団扇をもって客待ちする。
■菊地契月:《歌舞園》・・・右に美しい井牡丹をもった歌姫と3人の女性楽師・右に踊り手、《後宮》・・・風に衣と髪が乱れる中国夫人。
■川合玉堂:《晩帰》・・・家路につく人々と橋が遠くに見える自然の風景、《清湍釣魚》・・・見事な波と漁師の表現は浮世絵風、《鵜飼》・・・得意の画題、《渓村春雨》・・・やわらかな雨によるそぼ降る春への移行、《帆影》・・・洞窟の向こうに明るい海・白い帆。
■児玉希望:《春月》・・・幻想的な夜桜。
■奥田元宋:《月明秋耀》・・・紅葉の赤が空の青、山の白、月の黄色を圧倒、《上高地》・・・穏やかな山と池。
■池上秀畝:《歳寒三友》・・・松竹梅ではなく、柏椿梅・椿の紅が鮮やか。
■杉山寧:《汐》・・・、不思議な水紋、《晶》・・・泳ぐ裸婦が直角に配置されている、《けい》・・・カッパドキアの羊飼い女を岩山の上から描く。
■岩橋英遠:《夕空》
■橋本明治:《実》・・・葡萄の房、《春座敷》・・・鼻の周囲の影が強すぎる。
■山口蓬春:《夏蔭》・・・緑のインコが2羽、《留園駘春》・・・美しく強い木蓮の姿。
■堅山南風:《横山大観先生》・・・巧い、《朝の月》・・・迫力のある山桜。
■高山辰雄:《牡丹(石壷に)》・・・幻想的、《朝凪の濱》・・・金色と褐色。
■山本丘人:《紅葉の季》・・・穏やかな画。山本丘人展で観たと思う。
■横山操:《赤富士》・・・彼の真骨頂。
■加山又造:《千羽鶴》・・・琳派風、《猫と牡丹》↑・・・青い目、《雪晴れる》・・・抜けるような青空と白い山の稜線と陰影。
■平山郁夫:《静夜鹿苑寺金閣》・・・輝く静寂な夜の金閣寺。
■大山忠作:《遊鯉》・・・休んでいるところか。
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